少し前の話だが、四半世紀ぶりに高校1年の時の同級生と数人で、同窓会をした。案外楽しかった。
案外とかいうのも何だが、当時自分には寮生活と部活とクラスの3つ居場所があって、クラスの優先順位がとても低かった。寝に行ってたというか、弁当を食いに行っていたというか。なので当初、LINEでグループが作られそこに呼ばれた時も、誰が誰なのかよく分からなかった。名前が本当に出てこない。なので寮で同室だった奴に連絡して、「この名前誰だっけ?」とか、よく分からないやり取りをした。そいつとはたまにLINEでやり取りをするが、同じように高校卒業後一度も会っていない。
北関東の街の居酒屋に集まって、乾杯してから始めた。LINEのグループには10人ほどいたが、そこに集まったのはもっと少なかった。
入学式にリーゼントで来てすぐ坊主にされたWや、10代でホストクラブの店長をしていたF、1年の時に中退したNなど、よく考えると自分と仲良かった感じの同級生は誰もいなかった。そりゃそうか。僕は当時ブックオフで立ち読みするために夜中に寮を抜け出したりしていて、それはそれで青春ぽかった気もするが、クラスメイトとの思い出が殆どない。あずまきよひこのあずまんが大王が名作だと発狂して、一人授業中に模写したりしていた。
参加したのはNがいたからかもしれない。Nが高校を辞める時の感じは何となく覚えていて、部活で活躍していたし周りも止めていたが、気づいたら退学していた。高校中退してその後どうなっているのかたまに考えることがあったので、会ってみて「そのパターンかい」と思った。金色の腕時計をしていて、従業員が数十人いる建設系の会社の社長になっていた。とにかく金色の腕時計が気になった。
寮生活をしていたのが僕だけだったので、「当時はこんなだったのよ〜」みたいな話をしたら、Nは「俺はこうだった」と被せてきた。あれ?と思ったが、先輩がどうのの話は途中まで噛み合っていたので、うんうんと聞いていたが、段々話が激しくなってきた。「それはなくね?」と思いつつ聞いていたのだが、どうやらNは一時期ヤクザだったらしく、その瞬間に色々腑に落ちる感じがあった。
高校の卒業アルバムは引っ越しの時に邪魔で捨てたのだが、高1の時の遠足の集合写真があったので、それを持っていったら割と盛り上がった。「Kは○霊って族に入ってて〜」「当時は誰でも入れてた時期だから」みたいなやり取りがあり、あれ本当だったのか、と思った。確かに不貞腐れたような態度なことは多かったが、Kは面白くて優しい奴だった記憶がある。元々そういう集団に属するようなタイプじゃなかったのか、最後は残念な結果になってしまったらしい。自分が知らない情報が沢山あった。
相当問題の多いクラスだったらしいが、1年の頃は寮や部活が大変すぎて(あと自分が陰キャすぎて)、何も実感がなかった。理不尽に担任に殴られたことがあって、もし自分の人生が本当に上手くいかなかったらあいつを殺そうと思っていたという話をしたら、みんな喜んでくれた。その頃の自分はあずまんが大王が名作だと発狂して一人授業中に模写したりしていたので、こいつは殴ってもいいと思われていたのかもしれない。ああいうのは割とずっと覚えている。
居酒屋のあとは「ぽっきり6千円!」みたいなキャバクラに連れて行かれカラオケをした。飲み放つきで6千円とのことで不安があったが、ちゃんと一回り上の嬢たちでなるほどと思い安心があった。僕はサービス精神があるのでサービス精神のある感じのカラオケをしたところ、ストレスが凄そうだと哀れみの目線を感じたが、それで良いと思った。充実していると思われたら終わり、みたいな価値観が根底にある。
Wがボトルをラッパのみし出したので、一緒にSMAPのSHAKEを歌って、そろそろだということでお開きになった。いつの間にかSMAPもあんな感じになってしまったが、それはまあそれとして、案外楽しかったのでよかった。