屋根と壁が無い生活は精神がやられるという話

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20代中盤の頃、一時期ホームレスをしていた。住んでいた賃貸物件の家賃を滞納して、追い出されたのだった。

埼玉に住んでいたのだけど、何故か歌舞伎町周辺でホームレスをしていた。あの辺はそういうやつが沢山いるから安心できたのかもしれない。

派遣に登録していたので、たまに働きながらその生活を送っていた。だから空き缶を回収しながら生計を立てているような本職の方に比べると、ぬるい感じに映るかもしれない。

始めた頃は夏だったので、ダンボールの上で寝たりしていた。だんだん寒くなってきて、つらくなってきた。だいぶ寒くなってきたある日、道の端で寝ていたら雨が降ってきた。眠かったので我慢して目を閉じたのだけど、横から降り注ぐ雨で身体が冷えすぎて、死ぬと思って起きた。そこからは漫画喫茶やスーパー銭湯で寝るようになった。

俺がよく行っていたスーパー銭湯は10時間までしか滞在できず、それを超えると追加料金がかかった。追加料金は痛かったので、10時間を超える前にチェックアウトした。そのあとは新宿の大久保公園とかに行って時間を潰した。そこで喋るようになった人に5千円貸したら連絡がつかなくなった。

若かったのでスーパー銭湯で雑魚寝をしているとそれ系の人がちんこをさすってきた。西武新宿駅にいたおばさんのホームレスは日に日に弱っていった。放置された自転車の前かごに残されたお酒を見つけてペットボトルの容器に集めていたおじさんがいた。「死ね今すぐ死ね殺す頼むから死ね」と繰り返していたおじさん。確実に精神が蝕まれていくのを感じた。

同居していたやつがひとり出て行くというので、ルームシェアしていた友人が僕に声をかけてくれた。そこに住むことになった。こいつはこのままじゃヤバイと気を使ってくれたんだと思う。引っ越して一室を与えられてその畳の上に横になった時、ものすごい幸福感に包まれた。雨と風を気にせず眠れるということは、信じられない幸福なんだと思った。

phaの人が新刊を出した。あの人は駄目な大人かもしれないけど頭のいい人だから、お金に縛られない幸福を問いている。お金がなくても、幸せになれる人はいる。けど、本当に駄目でバカなやつは、お金がないと落ちるところまで落ちる。一度落ちたら戻ってこれるかどうかは、ほとんど運だとも思う。