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安全ではありません

奨学金200万完済した

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先月2月で、10年に渡る「奨学金」の返済が終わった。いやー、長かった。思い足枷でしたわ。んでそのタイミングで、この奨学金がちょっとした社会問題というか、話題になっていたので少し書く。

「奨学金」という名の借金

上記記事で「奨学金という名前がよくない」だったり「(卒業後の)月々の返済額がいくらになるか、ほぼ分からない」という記述がある。俺も「奨学金」っていう名前は良くないと思ってた。だって多くの場合、純然たる「借金」だもんね、利子だってちゃんと付く。

奨学金には現状大きく分けて3種類あって、一つ目が今問題になっている「借りる奨学金」。2つ目に、すごく募集枠が小さいのだけど「貰える奨学金」がある。この貰えるタイプも借りるタイプも同じ「奨学金」として扱われているのが問題で、その中身を分かりにくくし、「借金」という現実にモヤをかけている。3つ目には新聞奨学生のような、在学中に「働きながら貰える奨学金」がある。
更に、「借りる奨学金」にも日本学生支援機構や国の教育ローンといった、利子が低めだったり一部無利子で借りれるものと、銀行や信販会社が運営している少し利子が高めのものがある。俺の場合は「国の教育ローン」で借りたのだけど、それでも利子は年率2.1%だった。借りた額は181万だったが、10年間(正確には9年と9ヶ月)で、大体200万になったわけだ。20万くらいの利息を払った計算になる。銀行や信販会社の場合は、年率が3〜4%らしい。

バカでも借りれてしまう「奨学金」という制度

奨学金って、大学に上がるタイミングの18歳で借りる人が多いのだけど、俺の場合は22歳の時、大学4年の時に借りた。大学卒業後、1年生の専門学校に通うためだった。しかもその専門学校が漫画の学校で、当時の俺は「いずれ人気漫画家になる自分にとっては月々の返済金など端金じゃわい、ガーハッハッハ」と思っていたものだった。つまり、バカだった。そんな俺でも(そのうえ進学先が漫画の専門でも)、奨学金は簡単に借りれた。それなりの企業で働いていた父が保証人になったからかもしれない。ちなみに、当然だが俺の支払いが滞った場合、保証人である父に支払いの義務が生じる。その辺も純然たる借金と言えるポイントかもしれない。

実際に返済が遅れたことがあったのだが、その際はまず、実家にいる父の元に支払い催促のハガキが届く。そこから間が空くと、封書で催促状が届き、さらに実家の固定電話に連絡が行く。ほんの数日支払いが遅れてもハガキが実家に送られてしまうので、その辺の連絡は俺自身の住所や携帯に連絡して欲しいと教育ローン支払いもとである国民生活金融公庫に問い合わせたことがあったのだが、「それは出来ない」ということだった。なんでだろうと思ったが、きっとその方が支払い者に対するプレッシャーになるからだろうと判断した。こうなってくると、月々の返済をするのは俺自身だが、もはや保証人である父に対し貸してるようなもんだろという、そういう印象を抱いた。

ホームレスをしていた時も月々の返済はしていた

この話をするとここまでの内容に対する見方が変わってしまいそうだが、俺は一時期ホームレス経験がある。それは本職の方に比べるとぬるいものだし、登録制派遣の仕事をたまにやりながらのものだったが、安住の地を持たないその生活は精神を蝕んでいったし、当然金銭的にもギリギリのものだった。
hitujyuhin.hateblo.jp
それでも、奨学金の返済だけは毎月していた。何故なら返済が滞ろうものなら、実家の父にハガキと封書と電話催促がその都度お届けされるからだ。さすれば父は激昂し、母は心配した。それは避けたかった。なので住む場所が無いという状況でも、奨学金の返済だけはしていた。このあたりからも、借りるタイプの奨学金が純然たる借金であり、決してゆるくはない取り立てがあって、返済者にプレッシャーを与えるものだというのは伝わるのではないだろうか。もしかしたらそれ以上に「こいつただのヤベー奴じゃねえか」という印象を与えてしまうかもしれないが、それは俺の望むところではない。だが、俺のようなどうしようもないバカにも、手軽に百万単位の金が貸してくれる仕組みが奨学金制度であるというのが伝われば、それは望むところかもしれない。

それでも、基本的には返すのは当然

奨学金を滞納している人を強く叩くのは、やはり実情を知らない「奨学金を利用していない人達」だと思う。そしてその返済の困難さを実感している「借りた側の人達」は、その仕組みを非難している。特に社会人経験も無い十代の若者に、将来性が不透明な中で百万単位の額を貸してしまうというそのやり方は、非難されて当然といえるかもしれない。
shiromatakumi.hatenablog.com
上記記事では「叩くべきは遅延者ではなく日本」と意見している。俺は「日本」と言われると「叩く相手いきなりでけーな」という所感を持ってしまうのだが、「借りなくてはいけない人と、そうでない人が存在するのは事実」などは、うんそうよなと思うし、日本が政府レベルで教育に力を入れるべきなのも同感だ。

借りた上で何年かして身体を壊した人だったりやむを得無い事情があった人に対する救済措置は作るべきだし、奨学金という名前も「返済責務付き学業融資」とか分かんないけど固くてしんどそうなものに変えるべきだ。借りる際に各融資先の説明責任を強くした方がいいし、国が教育に力を入れて大学教育に対する負担が小さくなるのであれば尚良い。

まあただ、俺自身は現状ルールの借りるタイプの奨学金の恩恵に預かったわけで、返すのしんどかったけどそれって自己責任だよな、とも思っている。自己責任って感じ悪い言葉かもしれないし、どうしようもない事情があった人は可哀想だけど、借りた金を返すのって友人関係に置き換えたらやっぱりすごくギリギリの部分だとも思うわけで。だから借りちゃった人はさ、諦めて割り切って返しましょうぜ。もうそうするしかないんだから。そんで未来の子供達のために、出来ることなら教育環境、整えてあげたいっすね。