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30代の俺というおっさんをこしらえた漫画十選

Twitter見てたら「#好きな映画10選」っていうハッシュタグでツイートが流れてきた。んで自分もやろうと思ってリストアップしたのだけど、どうせならその作品についてちょっと何か書きたいなと思って、なのでブログで書くことにした。

けどよく考えたら俺漫画の方が好きだなと思いまして。いや映画も好きなんだけど、漫画で育ってるのよね。子どもの頃、親に映画館連れてって貰ったこと多分1度もなくって、友達の父ちゃんに小5くらいの時『ダイハード』連れて行って貰ったのがおそらく初めてだったと思う。あとは中学になってから一時間に一本しか来ない烏山線で友達と一緒に宇都宮行って映画観たような記憶はあるのだけど、何観たか覚えてない。家に再生専用のビデオデッキはあったのだけど、レンタルショップとか自転車で行ける範囲には無かったのよ、だから手軽にビデオテープ借りて映画観るみたいなこともなかった。でも妹をすごく可愛がってたおっさんがパチンコの景品で貰ってきた『ライオンキング』のビデオだけは唯一家にあって、だからライオンキングは超みたよね、30回は観た。はくなまたただよ。

なんかとりあえず書き出してみたら映画でも語れそうじゃね?という気もしてきたのだけど、漫画で語る気もりもりでキーボードにお手々置いたし、はてなの今週のお題「私の本棚」だから、やっぱ漫画で10選しますわ。
他人におすすめするというよりか、好きな漫画10選、あるいはタイトル通りのセレクトなので宜しく。あとこのブログなりTwitterで書いてることと重複する部分はあるだろうが、気にしないで書いてきますわ。

とりあえず俺というおっさんを形作った漫画トップ10はこんな感じ。時系列で、下に行くほどおっさんになってから読んだ漫画です。

  1. レベルE/冨樫義博
  2. こどものおもちゃ/小花美穂
  3. エンジェル伝説/八木教広
  4. ラフ/あだち充
  5. 魔法陣グルグル(の7巻まで)/衛藤 ヒロユキ
  6. ピンポン/松本大洋
  7. げんしけん/木尾 士目
  8. ハチミツとクローバー/羽海野チカ
  9. 俺はまだ本気出してないだけ/青野 春秋
  10. 惑星のさみだれ/水上悟志

レベルE/冨樫義博

これは初めて映画館連れてってくれた友達がやっぱ小学6年とかの時に週刊少年ジャンプからカラーレンジャーの回切り取って学校に持って来たことがあったのよね。そんでそれ読んだのだけどその時思った。「ああ、これより面白い物語に、俺はもう一生出会えないかもしれない」。
あのカラーレンジャーの回は衝撃で、俺のその後の何かを決定付けた気がする。黛のセリフでさ、「夢を見ました。茄子色のお姫様がヒキガエルの子供とくるくる回るのです」ってあるのだけど、未だに覚えてるよね。漫画だと『ルナティック雑技団』の「思春期から発情期へと通ずるけもの道を!」とかと並んで何故か特に好きなセリフだったりする。
野球部の部員がバスごと潜在意識の中に閉じ込めちゃう話で、犯人がちゃんと特定できるように描かれてたのを知ったのはだいぶ後になってからだけど、そういう時を経ての驚きもあった。あの1巻のクラフトの心象風景の絵で俺は「心象風景」という言葉と意味を知った。
異種食いやRPGツクール的世界だったり、後の『ハンター×ハンター』に影響与えてるというか、元ネタといえるような設定も出てくる。てか『ハンター×ハンター』はグリードアイランド編だったり、キメラアントの王とコムギの最後だったり、この前のヒソカvsクロロだったりさ、「世界で一番面白い物語これだわ」っての数年置きに思わせてくるからすげーよ。じゃあなんで10選にハンター入んねえんだよって話なんだが、いやあ、これが15選だったら入れるよね!ハンターだけじゃなくて『幽遊白書』も入れるよ。だからまあやっぱ俺にとって冨樫義博ってのは特別なんだろうね。そういう奴いっぱいいるだろうけど。

こどものおもちゃ/小花美穂

10作リストアップして思ったけど、掲載雑誌が見事にバラバラだなあと。俺は黄金期後半からその後のジャンプと、サンデーと90年代リボンに特に影響受けてた気がしてたんだけどめちゃバラバラだったわ。
こどちゃもね、冒頭書いた『ライオンキング』的な作品なのよ俺の中で。どういうことかというと、多分こどちゃも通し読みで20回くらい読んでると思うのよ、人形病のとこ以外。田舎すぎて娯楽が少なかった子供時代、繰り返し読んだ漫画ってのはやっぱ思い入れがあるし、影響受けてんじゃないかなあという気がする。紗南ちゃん他、頭にリス飼ってるその母とか、元ホームレスのマネージャとか。あと大阪弁の風花とかも好きだった。風花ってアニメだと『赤ずきんチャチャ』のやっこちゃんと同じ声優だったよね確か。「やっこ名物!」のやっこちゃん。
この漫画みたいなキレのあるユーモアと繊細な感情描写兼ね備えてる作品って、今でもそんなに多くないと思う。10選に入れた『げんしけん』とか『ハチクロ』はラブコメってのもあって近いかもしれないけど。てかまあ、俺は結局のところ、ラブコメ割と好きだよな。
大人になった紗南ちゃんや羽山が出てくる『Deep Clear』っていう漫画があって、1年前くらいにそれ読んだ。同作者の『Honey Bitter』っていう漫画との特別番外編という形なのだけど。微妙なボリュームだったけど、こどちゃファンは懐かしく感じれていいと思いますよ。あとテンション上がるとラッパ吹く直澄くんもちらっと出てくるのだけど、大人になった彼には意外でちょっと複雑な切なさがあるよ。


エンジェル伝説/八木教広

凶悪な顔だが心は純粋な男子高校生を主人公にした物語。彼には天性の格闘センスがあって……という、ヤンキー系格闘ギャグ。そんなカテゴライズあるのかしらんが。
これも通し読みで10回以上は読んでたし、2年くらい前にまた買い直した。俺にヤンキーやバイクに対する憧れって全く無いのだけど、この漫画は好きだった。てかこの漫画にバイク出てこないなそういや。碧空町という、架空の街を舞台にし、そこに愛着が感じられるのもまた良い。あと、主人公やそのライバルとなるキャラクター以外にも、主人公の父(デカイ)vaヒロインの父(古武術師範)のような父同士のバトルも熱い。同作者は『CLAYMORE』で笑いを排除しシリアスな物語を描いた。『CLAYMORE』の作画やあそこまでシリアスに徹したもの描いても面白かったのはすごいけど、俺はやっぱエンジェル伝説が好きですわ。

ラフ/あだち充

あだち充の最高傑作はこれ! と、俺が言い続けて久しいタイトル。まあでも、『クロスゲーム』以降は読めてないっすな。あだち先生ならきっと安定した面白さで描いてるんだろうが。
野球漫画のイメージが強いあだち充だけど、この漫画は水泳漫画。この時期は時代劇ものである『虹色とうがらし』とか、結構冒険してた気がする。あと演劇ものとかあったよね確か。
『ラフ』はそのラストシーンの素晴らしさがことさら強調されるし、俺も推すのはまずそこなんだけど、ヒロイン登場時、自己紹介のあと主人口に対して放つ「人殺し」が、読み始めのミステリ要素として優秀だと思う。あとヒロインである二ノ宮亜美は、あだち充作品のヒロインでも屈指の良さ。見た目は『H2』の古賀ちゃんとかみたいな髪型っていうか、まあ作画古賀ちゃんなのだけど。あのドジっ娘属性は無い。文庫だと全7巻だし程よいボリュームだと思う。
俺は高校時代を男子寮で過ごしているのだけど、その生活を選ぶハードルが低かったのはこの漫画を読んでいたからだと思う。現実の男子寮生活に、部屋の窓開けたら向かいの女子寮の窓も開いて二ノ宮も手を振るみたいなラブコメ展開はなかったけどな!
関連:男子校でしかも男子寮に住んでた - 必需品ブログ

魔法陣グルグル(の7巻まで)/衛藤 ヒロユキ

杖を使い地面に魔法陣を描くことで生み出される魔法「グルグル」を使う少女ククリと、勇者の英才教育を施された盗賊ニケによる、ギャグファンタジー。
今読んでも全く古くない。何故なら架空の世界が舞台だからなんだけど、同時にその世界の描かれ方とギャグセンスを、その後20年に渡って誰も真似出来てないからだと思う。同作者が続編を描いてるし、メルヘン的世界観だと『コジコジ』とかあるが。『コジコジ』にRPG要素は無いし、あれもまた唯一無二よな。
さっぱり妖精始めとした妖精やメケメケのような不思議生物、キタキタ親父のような奇怪なキャラクタを生み出した。キタキタ親父はおにぎりを非常に早く握ることが出来るのだが、それは米をワキの窪みに詰めることで握るからだ。
RPG×メルヘン×ギャグと、特異な調合で生まれた漫画だと思う。ククリの可愛さも素晴らしいもんがある。ただよく言われることだが、この作者は同作中絵柄が変わりすぎた。それに伴ってかは分からないけど作品の対象年齢のようなものも巻を追うごとに下がっていった印象があり、俺が本当に面白いと感じられたのは7巻までだった。7巻までの面白さであればきっと今連載してる続編も集めていたことでしょう。
関連:ククリと魔王討伐の旅がしたかった/衛藤ヒロユキ『魔法陣グルグル』 - 必需品ブログ

ピンポン/松本大洋

高校時代、卓球部のキャプテンだった奴に借りて読んで、今は自分の本棚にありますわ。いや、パクった訳ではなくて。
ペコとスマイルのWヒーローといっていい漫画でその友情や変化を描いており、その辺はシロとクロを通して描いた『鉄コン筋クリート』と近い感じある。けど『ピンポン』は準主役の3人、ドラゴン・あくま・チャイナの誰の視点からでもドラマになる感じというか、群像劇っぽかったよね。俺はあくまに感情移入したけど、ドラゴンとチャイナの逃げられない立場だったり葛藤もキャラクタとして味わい深かった。あとペコとスマイルそれぞれの師匠も良かった。やっぱ師匠ポジションって重要だよね。
「これが最後だ、3度目の正直、全国行きてえなあ」って呟いてたキャラクタがスマイルにボコられる対戦とかも切なかった。
あと関係無いけど、大学の時フットサルチームでユニフォーム作った際、背番号の上に名前を刺繍したことがあった。んで龍一という友達に「ドラゴンって入れたらいいじゃね?」って冗談で言ったら、真に受けたらしく本当に「DORAGON」って刺繍入れたの着てきた時は、なんか申し訳なかった。

げんしけん/木尾 士目

10選の中で唯一連載中の漫画。大学時代、俺にオタク系サークルへの憧れを植え付けた漫画なのだけど、この漫画についてもほんと何度も書いてるのよね。なのでアフタヌーンでの最新話(2016年7月13日現在)の話とかしますわ。
班目が咲に「あの時、君は鼻毛が出てたんだ!」って超遠回しな告白を半泣きでして、俺たちおっさんにとっての『げんしけん』はあの時一度終わったじゃないですか。あ、幕降りたなって思ったんだよ読んでて。でもその後、班目ハーレム始まったでしょ? 班目に4人の女子が寄ってきて、班目にまさかのモテ期が訪れた。
でも班目、全員断ったじゃん! いや、班目のキャラクタを真剣に考えると、確かにそうはなるんですよ! なるけどさあ、あれだよね、もったいないよねえ。んでその矢先、再度の咲登場ですよ。んで咲は言いますよね。班目に対して言います。「あんたはスージーと付き合いなさい!」って。
何気に、げんしけん一代目って9巻で終わってるのよ。んで二代目の今、最新が20巻じゃん。だからもう二代目の方が長いんだよねこの漫画。
班目って大学卒業後1年くらい経っても大学周辺に住んでるじゃん。それで「モラトリアム抜けねえ」とか言われてる。まさか俺も大学時代、30代になってもこの漫画続いてると思ってなかったし、アフタヌーンで追いかけてるとも思わなかったわ。

ハチミツとクローバー/羽海野チカ

あの話しましたっけ、ほら、ハチクロが実写映画化した時、その試写会に俺が応募した話。なんか「あなたの好きな人とおこし下さい」みたいな企画で、当選するとペアで観に行けた。んでその応募の要項に「あなたの好きな人へのメッセージを書いてくれ」みたいのがあって、だから俺書いたよね。「今日君に伝えたい、世界一短い詩があるんだ。”好きだ”」って。そしたら当選した。だから意気揚々と当日会場に行きましたよ、ひとりで。あ、したことあるねこの話。
『3月のライオン』も抜群に面白いんだが、「こしらえた」ってか、影響受けたって意味だとハチクロですなあ。てか今更だがこしらえたってなんだよ。
それにしても、羽海野チカは一貫して羽海野チカだなあと思う。Twitterでもフォローしてるんだけど、作品の感じのままって感じするし。感受性超強いんだろうなとか、繊細で生きにくかったのかもなって。
ハチクロ時のアッパーなギャグも、ヒロイン他の可愛らしさも、作画も好きですわ。女性キャラクタは基本男が描いた方が可愛いこと多いと思ってるのだけど、この人が描く女の子は可愛いよね。作画も雰囲気も。
8月にやる原画展のチケットも購入済みなので、楽しみにしてる。
関連:『げんしけん』と『ハチミツとクローバー』と、俺 - 必需品ブログ

俺はまだ本気出してないだけ/青野 春秋

漫画家を目指す、ダメな42歳のおっさんが主人公の漫画。
俺も絵が上手くないのに漫画を持ち込んだりしてたのだけど、この作品の大して上手くない作画は俺を勇気付けてくれた。でもこの漫画に漂うけだるさっていうんですか、一部キャラクタの何かを諦めてる感じだったりは、真似しようと思って真似できるもんじゃないと思う。ダウナーな魅力。あと哀愁がある。
漫画で哀愁を感じる作品ってのも稀有じゃね? この10選の中だと『ピンポン』にもそれがあるけど。あと『アフロ田中』シリーズにもありますな。

惑星のさみだれ/水上悟志

20代中盤とかで読んだ。社会人になってから読んだ漫画の中で一番はまったのがこれかもしれない。『ちはやふる』とかも好きだけど。
てか俺は水上悟志作品が相当好きらしくて、この前完結した『スピリットサークル』も本当に良かった。”輪廻転生”というテーマを全6巻でまとめて、しかも面白かったのは凄い。主人公とヒロインの過去7度の生を追体験し、その過去生が絡み合って今の生の因縁が明らかになり、最終6巻はその因縁の解決が描かれる。4巻は丸一冊使って本来主人公とヒロインがいるはずの時代よりも”未来の前世(!)”が描かれるのだけど、この4巻は1巻から順番に読まずにいきなり読んでも多分面白いと思う。
同作者の『戦国妖狐』も全17巻で少し前に完結した。こちらは第一部と第二部で『スターウォーズ』の様に主人公が入れ替わり、第一部の主人公がラスボス的立ち位置となる。俺は『惑星のさみだれ』や『スピリットサークル』の方が好きだけど、毎度面白いことやるよなと思った。作者あとがきによると、いきあたりばったりで展開してったらしいけど。
それにしても『惑星のさみだれ』ってネット上だとめちゃくちゃ人気あるじゃん。アニメ化して欲しい漫画作品で1位取ったりで。でもずっとアニメ化されないのって、明確な弱点があるからだよね。シンプルに言えば敵対する泥人形だったりブルースドライブモンスターのデザインが俺は弱点だと思ってるんだけど、あんだけ話が面白いんだから、そのデザインだけ得意とする人に任せてアニメ化出来ないもんすかね。いや連載してた雑誌の力とか、もっと別な要因があるのかもしれないけどさ。

ダラダラ書いてたら思ったより長くなってしまった。先月で仕事やめたからさ。無職だとあるよね、時間が。