必需品日記

安全ではありません

インターネットの人たちと温泉旅行した

3週間ほど前の話だが、ネットで知り合った人たちと温泉旅行をした。21人くらい居た。21人だ。

人は21人で温泉に旅行するとバスを借りる生き物で、バスを借りてそこに乗ってお湯の張った池こと温泉を目指したのだった。

群馬だったと思う。群馬の方に向かったのだが、雪が降っていた。暖冬だ暖冬だと感じているのだが雪は降っており、なんで今日なのだという雰囲気が漂う中、どういうつもりか分からない4人がいて、バンジーで飛んだ。人は何かの欠落を埋めるがごとく空を飛ぶ生き物で、ときに命を落とす。山を登り命を落とし、空を飛んでは命を落とすのだ。そのバンジーは落ちた後に引き戻されるタイプのバンジーで、落ちてビヨンビヨンしたあとゆったりと戻ってくる様は愉快で、切り取った人生があった。

そこから温泉へと向かった。1泊2泊のバスツアー、目的のお湯の張った池である。地から湧き出る何かの溜まり場、そういうところだった。

僕は子ども時代、旅行をしない家で育った。沸点が分からず突如キレる父と、宗教一家の長女として生まれ火の玉が見える母。ヤバめの組み合わせの元に長男として生まれ、妹と共におばあちゃんの年金で育った。おばあちゃんは僕が小学2年の頃に足を滑らせて命を落とすのだけど、その場所は温泉のタイルだった。そういった意味でも僕にとって温泉というのは思い出深いスポットなのだ。

温泉に着くとまずは温泉街というところを何人かで練り歩いた。温泉街は練り歩くに丁度いい広さで、射的やお饅頭などがあった。俺は射的やお饅頭をやらなかったが、みんなはそれをやっており、目が逝っていた。僕は怖くなり、距離をとりながらそれを写真に収めた。

帰ってから温泉に入った。俺のばあちゃんが命を落としたことでお馴染みの温泉である。たくさんの人間がこれまでこの湯に浸かって来たことを考えると突如こみ上げる感情を抑えることが出来なくなったのか、周りの人たちは湯に浸かりながらみんな目が逝っていた。

そこから宴会である。夕食を食しつつの会。隣の部屋のグループはホステスを連れ込んでおり、淫靡さがあった。
我々はネットで知り合った人たちなのだが、どちらかというと本を読んだり文章を書いたりが好きな集まりなので、健全にすすんだ。
ただ参加者にひとり男性器が3本に見える芸を持っている人がいて、「本物はど〜れだ?」という技をやっていた。僕は背中しか見えなかったが正面側にいた人たちは爆笑しており、その中の誰かが「真ん中!真ん中が正解だと思う!」と叫んでおり、それは面白かった。

その後はへやを変え、ツイキャスというやつをした。たくさんの人間が映ったが、俺は映るよりコメント欄にぽちぽちと書き込んでいる方が楽しい。
気づくとパーティーゲームに移行しており、サイコロを振るなどした。降ったサイコロで何かが決まり、負けた人間が酒を呷った。
負けが込んだ人間が脳をやられてしまい、男性器を出すなどした。2回出し、その後サイドフックキックを放ち、顰蹙を買っていたが、それはとても面白かった。僕はあまり下ネタが得意ではないのだが、出していい男性器とだめな男性器というものはわかり、それは出していいタイプの男性器だった。

0時を回るころ、そのうちの何人かの中年で、閉店間際のラーメン屋に行き、中華そばを啜った。個人的ハイライトがここであり、良い中華そばだった。横の席の男がナルトをくれ、少し嬉しかった。

部屋に戻ると、先ほど2回下腹部をあらわにした男が出没していた。ラーメンが食べれなかったせいか再び荒れ、流れで俺が引き受けたところ、50分ほど独白を聞かされた。目は飛んでいるのに、理路整然と物を語り、地の頭の良さを感じたが、それでも酒は人を飛ばしてしまう。

目覚め、再び風呂に入った。サウナはぬるかったが、その後の朝食や、コーヒーは美味かった。

帰りは酒を呷りながら美術館をめぐり、うどんを食し、バスに揺られた。 

旅行をしない家で育ち、高校の修学旅行も参加していない俺が、ネットの人たちと旅行というのは、これは成長なのだろうかと考えた。そして、成長ではないとなった。

成長ではないが、旅行というのは、そういうことではないのだ。

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