あまり知られていないことだが、現代に生きる男という生き物は、本来みんなブラがしたいと言われている。しかし、前時代的な政府の規制もあって、声を大にしてブラがしたいと鳴けないのが実情なのだ。
かつて男たちは夏が近づくと夕暮れ「ブラがしたい、ブラがしたい」と、一斉に鳴き出したと言われている。それを聞いた女たちは、決まって雨戸を閉めたそうだ。確かにそこには一定の拒否感があったのかもしれない。しかし今、男という生き物が晒されているブラハラを思うと、筆者はどこか牧歌的な心持ちになる。
職場を、典型的なブラハラで辞めたというHさん(仮名)は、こう語る。
「僕は、職場でブラをしていたことはないんです、いや自宅でもブラをするのは冬至と夏至だけです。なのに、なんていうんですかね、ブラ顏なんですかね。ブラ顏はどうしても損ですよ、連想されてしまうんでしょうね。当時は上司に『たるんでるんじゃない? ブラ買い直して来なさい』なんて言われてましたから。終業後に自宅で、毎日泣いてましたよ」
また、Kさん(仮名)のように、公共の場で被害にあった経験を語る人もいる。
「突然ですよ、『だーれだ』と言われて、手ブラされたんです。えって思うじゃないですか。急にだし、手ブラされたら目も見えない。止めて下さいとは何度も言ったんですけど、止めてくれなくて。周りに人もいたんですが、誰も助けてくれませんでした。その日はタンクトップで出歩いていたので、自分にも非があるのかもしれない。だけどすごく悔しかったし、それにやっぱり怖かったですね」
こういった被害を訴える声がある一方、ヌーブラであれば男が着用してもよいことにしようという、規制緩和の動きもある。しかし、過激派であるブラ男全共闘時勢代表のY氏は、「こういった中途半端な規制緩和がより自体をややこしくする」と声を荒げる。
「布じゃないと駄目だ、布じゃないと生まれてきた意味がない」
筆者は今後も彼らの苦悩と、社会問題化するその欲求に焦点を当て、レポートを行っていきたいと考えている。
- 作者: 石黒圭
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