仕事が続かない

「懺悔してもいいですか?」

私の中の神様「いいよ」

「私、仕事が続かないんです」

私の中の神様「うん」

「なんていうんでしょうか、嫌なんです、残業なんてしたくないし、面倒くさいんです、職場の人間関係も」

私の中の神様「うん」

「それって悪い事ですか?」

私の中の神様「わるくないよ」

「ですよねー。あそうそう、だからかな、私、本当はひとりでやる仕事がしたいんです」

私の中の神様「はい」

「だからそういう仕事もしてきたんですよ今まで。でもなー。私、絶望的に自己管理能力がないじゃないですか」

私の中の神様「はい」

「時間管理が苦手なんです、ストップウォッチ買ってピッピやってみたり、いろいろしてるんですけどね。なんでだろ」

私の中の神様「自己規律がふわふわしてるんじゃない?」

「自己規律がふわふわしてるんですかねー。私、最近思うんですよ、職務上の能力の差って、学歴やIQじゃないなって」

私の中の神様「なに?」

「心がけなんじゃないかなって。自己管理に根ざしている事がほとんどだと思うんです」

私の中の神様「はい」

「早起きだったり、お酒を飲まないとか、そういう自分を律することが出来る人が大抵信頼されるし、結果として成果もあげるのかなって」

私の中の神様「うーん」

「うーんって感じですか? まあ要領いい人はいますからね。あ、ほら、私って頭はよかったじゃないですか」

私の中の神様「うん?」

「あ、少なくとも悪くはなかったじゃないですか」

私の中の神様「うーん」

「あ、もしかして『頭がよいにも色々あって、勉強が出来るもそうだし要領がいいもそうだしコミュニケーション能力があるもそうだし、なんだったら運動神経のよさも脳からの情報伝達なのだから考えようによってはそれも頭がよいだよな』とか思ってます?」

私の中の神様「はい」

「わー、神様そういうとこありますよね。だから好かれきらないっていうか、大抵ニコニコしてるし人あたり柔らかい割に、まあまあ敵つくったりするんじゃないですか?」

私の中の神様「ころすぞ」

「あ、怒られちったてへぺろー」

私の中の神様「はい」

「やめてもいいですか?」

私の中の神様「何が」

「仕事」

私の中の神様「だめだよ」

「えー、でもなー。仕事続かないのも、私のアイデンティティのひとつみたいなところないですか?」

私の中の神様「ないよ」

「私を形作ってる感ありません? 私の仕事続かなさ」

私の中の神様「そうとうだよ」

「え?」

私の中の神様「それアイデンティティだって言い張るやつ、相当だよ」

「えー、そうかなあ。持ち味だと思うけどなー、私のこの仕事続かなさ。

私の中の神様「そうとうだよ」

「ねえ、お酒飲みたい。神さま、神様もお酒飲みたい?」

私の中の神様「はい」

「わーい、じゃあ飲もう。じゃじゃーん、今日はシャンパンでーす。栓を開けまーす(シュポン! ジュワワワワ)」

私の中の神様「おい、こぼれてるぞ」

「こぼれてないしー」

私の中の神様「どう考えてもこぼれてるだろ」

「こぼれてないし!!」

私の中の神様「・・・」

「・・・ごめん」

私の中の神様「いいんだよ、こぼれても」

「いいかなあ」

私の中の神様「いいんだよ」

「・・・ありがとう」


私がお礼を言うと、神様はいつものようにいなくなった。
私はグラスに注いだシャンパンを一口飲むと、お風呂にお湯を張るために立ちあがった。