この記事読んだ。後味が悪く、観ると落ち込む映画ということなのだけど、映画だと10タイトル挙げられないので漫画で10選しようと思います。
10位 さくらの唄 /安達哲 全3巻 文庫及び講談社BOX版 全2巻
- 作者: 安達哲
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1991/06
- メディア: コミック
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姉と二人で暮らしていた絵を描くのが好きな少年の家に、叔父と叔母が間借りしにくる。少年達は文化祭に向けて映画を撮ろうとするが、叔父の異常な世界に巻き込まれてグチャグチャに。リビドー全開の青春トラウマもの。
後味で言うと爽やかですらあるので入れるか迷ったけど、トラウマ漫画としては金字塔だと思うので10位に。25年前の漫画なので絵柄としては古く感じるだろうが、未だにカルト的人気を誇る作品。
9位 ブラッドハーレーの馬車/沙村広明 全1巻
- 作者: 沙村広明
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2007/12/18
- メディア: コミック
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少女達の憧れの存在である、ブラッドハーレー聖公女歌劇団。その構成員は全国の孤児院から集められているとされており、選ばれた少女は歓喜し、周りの少女は羨望の眼差しを送る。しかしその実態は服役者の性的欲求・破壊欲求のはけ口。
辛いし後味悪い。個人的に思い入れのある漫画ではないのだけど、その部分と作画の美麗さは間違いないと思う。
8位 ミスミソウ/押切蓮介 全3巻 完全版は全2巻
- 作者: 押切蓮介
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2013/03/12
- メディア: コミック
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クラスメイトから壮絶なイジメを受けていた少女は、中学卒業までの2ヶ月間を必死に堪えようとする。しかしイジメは限度を超え、少女は自宅に火を放たれる。妹は黒焦げになり、両親は命を落とす。家族を殺された少女が、クラスメイトに対して行う復讐劇。
復讐劇だけど、それによってカタルシスを得るというよりは唯々つらく苦しい物語。唯一の理解者が最大の悪意という地獄。
悪人を描くのは難しいってよく聞くけど、明確なモチーフなしでこういうフィクションが描けてしまう人は凄えなと思う。「実際にこんな事件があり得たかもしれない」と感じさせるあたりも、また違った意味でこわい。
7位 4丁目の夕日/山野一 全1巻
- 作者: 山野一
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 1999/12
- メディア: 文庫
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勉強ができ、両親に「あんたは(私たちの)夢だ」と言われた少年に起こる、不幸の連続。僅か二年ほどの間に気が触れ、そして行う凶行。
丁番が一つ違うだけでこんなにも夕日が黒い。掲載誌はかの「ガロ」。30年前の漫画ということもあって、絵柄やコマ外からのセルフツッコミなどは古く感じる。
主人公の父親が輪転機に挟まれてミンチになるシーンの描写がえぐい。救いもない。
6位 ヒミズ/古谷実 全4巻
- 作者: 古谷実
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/07/13
- メディア: コミック
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「普通でいい、平凡な日々を送りたい」と願う中学生の主人公。しかし彼は母親に逃げられ、金貸しに追われ、どんどん普通でなくなっていく。そして実の父親を殺害するに至り、それは決定的となる。
手癖が悪くバカな主人公の友達や、アッパーでやはり何か変なヒロインと、キャラクタに魅力がありただ辛くなるだけの漫画ではない。彼らの存在で諦観した主人公を引き戻せるかどうかの綱引きがクライマックス。彼にだけ見える存在は「決まってるんだ」とつぶやく。
5位 はだしのゲン/中沢啓治 全10巻 文庫版 全7巻
- 作者: 中沢啓治
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2013/07/04
- メディア: Kindle版
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広島原爆の被曝を題材にした、作者の自伝的漫画。
この漫画を「トラウマ漫画」とくくってしまうと怒られるのかもしれないけど、小学生の頃に読んだ自分としてはまさにトラウマものの内容だった。皮膚がただれて炎に包まれ、身体をウジが這う。過剰な表現だとの声もあるみたいだけど、そういうことじゃない気がする。読んでおいて良かったと思うし。
4位 闇金ウシジマくん/真鍋昌平 既刊34巻(2015年9月現在)
- 作者: 真鍋昌平
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/09/25
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※タイトル修正
10日で5割という暴利で金を貸す闇金会社、その営業者の丑嶋が狂言回しとなり、救いの無い人間模様を描く。
10選した中で唯一連載中の作品。説明不要の漫画かもしれないけど、各エピソードが2・3巻かけて描かれ、既に30巻を超える巻数となっている。序盤の丑嶋には多少人間味があった気がするけど、もはや表情が変わることも無い。
こういう漫画を描き続ける作者の心理状態が気になる。上手く距離を置いて描けるもんなんだろうか。
3位 ヤサシイワタシ/ひぐちアサ 全2巻
- 作者: ひぐちアサ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/06/20
- メディア: コミック
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大学の写真サークルが舞台。ヒロインはオタサーの姫よりもっとタチの悪い何かで、大脳をやってしまっているガール。
スプラッタやレイプシーンといった、過激な描写は一切ない。女性作家ならではの丁寧な内面描写で描かれており、静かに沈む。絵柄もかわいいのに尾をひく感じ。
『おおきく振りかぶって』の作者はこんな落ちる漫画も描いてたんですよ。
2位 一匹と九十九匹と(の2巻)/うめざわしゅん 全 2巻
- 作者: うめざわしゅん
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/04/27
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1巻は四編からの短編集だったが、2巻は1巻の物語とは関係の無い、丸一冊使った物語。「人間はひとつの誤謬だ。」という巻頭文から2巻は始まる。信仰のある女と、何かが欠落した男の物語。男は女の信仰を試すように残虐な行為に手を染め、熱心な信仰を持っていた女は壊れていく。
台詞が凄い。また、選択も手段も酷く残虐。本来こういう作風の作家ではないと思うので、読みながら「こんなの描いたら心やっちゃうでしょ」と思った。もともと寡作な漫画家ではあったけど、この単行本が出てから3年、一向に新作の話が出てこないのはこれを描いてしまったからな気がする。
1位 真・現代猟奇伝/氏賀 Y太 全1巻
真・現代猟奇伝 (夢雅COMICS) [アダルト]
「女子高生コンクリ詰め殺人事件」「混血少年連続殺人事件」「中部妊婦殺人事件」という、実際にあった事件をモチーフに描かれた三編と、特徴的な設定のオリジナル三編からなる胸糞悪すぎる短編集。
成年コミック。Amazonだと中古でもいい値段するので、マイナーな電子書籍で以前に読んだ。Kindleでも扱い無いので。
怖いもの見たさで読んで後悔するタイプの漫画。ただただ気分を害する。読むべきではない。
選外としては『虹が原ホログラフ』『イノサン』『悪の華』『ファイン』などがありました。
あと書いてて思ったけど、やっぱ俺は普通に笑えて泣ける漫画が好きです。
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