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最適化されたエンタメ映画『ベイマックス』

映画

 観た。iTunesでレンタルして。
映画公開時にネットだと絶賛の嵐だった気がするから、以下褒めることはしないで書いて行きたい。既に観た人と、ネタバレ気にしない人向けの文章なのでよろしく。

感動の最適化

「最適化」っていうのが、この映画…に限らず最近のディズニー系映画に共通して抱く感慨だったりする。これは高い完成度を意味してもいるので一概に「型にはまった」的なマイナス要因を指しているわけではない。まあ上手いよなと。
だってさ、結局のところ映画に限らずドラマだってアニメだってシナリオじゃないですか。シナリオが面白ければ作品としてある程度面白いことは保証されてる。だから本当はシナリオこそ練りにねって、時間と人をかけて仕上げるべきなのかもしれない。それをしてるのがディズニーであり、ハリウッドであり、その極みみたいなものの一つがこの『ベイマックス』なんだろうなって。

例えばこの映画では作品全体の1/4が進んだ段階で作中の重要なキャラクタが命を落とすことになる。これは別に当たり前だけど悪いことではなく、90分程度の映画で効率的にドラマを作ろうとしたらこうなるのかも。『タッチ』で和也が交通事故に遭うみたいな、やっぱり人の死を序盤に持ってきて、それを主人公の目的の動機付けとして利用するのは、どう考えたって効率がいい。ただ、大切な存在との別れを序盤で持ってくるときに、「死」っていう取り返しのつかない現象を利用するのは、ある程度物語に触れてきたおっさんである俺の中では同時にハードルを上げる行為だったりもする。「殺したね?」って。「殺したんだからそのカード切った上で超えてくるんだよね?」って。なんでしょ、「これから面白い話をします」から笑いを取りに行くように捉えるところがある。まあ「感動」の場合は事情が違うとはいえ。
ただ、当然のようにハードルは超えてくる。これが複数人でシナリオを練りに練ったドラマの強さなんだろう。宮崎駿に代表されるような、一人の才能による作家性で突き進む物語とは違うベクトルの強さ。繰り返しになるけど、その成熟をみているようではあった。

ベイマックスという存在

この物語の象徴でありマスコット「ベイマックス」はどういう存在か。彼は無垢であり、献身性の塊だ。「ケアロボット」という、人の看護を目的に作られたロボットであり、人の役に立つ為に生れてきた存在。彼は人を傷つけることを嫌い(というか出来ないようにプログラミングされており)、対象の心体をケアをしようとする。この物語に置いては身体のでかい犬的な、心優しき相棒として描かれている。そんな博愛ベイマックスとは対照的に、敵対者は明確な悪(と見せかけつつ正体を明かさないまま)として描かれていくことになる。

中盤からスーパー戦隊ものに

原案となったマーベルコミックが、もともと6人で悪と戦うヒーローものらしい。この映画の予告編を見る限りそういう流れは想像してなかったけど、中盤から5人+中型ロボット(ベイマックス)で戦うスーパー戦隊ものに作風が変わる。主人公の名前が日本的だし、舞台となるのも東京とサンフランシスコをベースにした未来都市。日本贔屓な作品ではある。
スーパー戦隊もののようなことをディズニーがやるのって新鮮な気もしたけど、「Mr.インクレディブル」があった。自分が男だからかもしれないけど、やっぱ5人揃ってゴレンジャイ的な展開はテンション上がる。(6人だけど)

映像としては

作中「マイクロボット」という超小型ロボットが登場する。これは大量に集まることによって様々な形に変化し、頭に「神経トランスミッター」を装着した人物の想像のままに動く、流動性のある生き物のような描かれ方をしている。『ターミネーター2』の液体金属みたいな。…関係ないけど、ターミネーター2のあのCG最初に観た時はびっくりしませんでした?あの時ほどではないけど、この映画でも最初にマイクロボットが登場する際は映像的に「お」と動かされるもんがある。まあそんなに映画観てる方じゃないから最近のハリウッド映画じゃ当たり前かもしれないけど。あとワープゲートの向こう側の世界も「お」って思った。

エンタメ要素詰め込み映画

ロボットバトルから始まって、カラテ、カーチェイス、ロケットパンチ、ロボット搭乗。スーパー戦隊設定や特殊能力もそうだけど、男の子が好きな要素てんこ盛り。視聴前ベイマックスの風貌からほのぼの感動ものだと思っていたのだけど、エンタメ要素詰め込み映画だった。
それと「空を飛ぶ」っていうこと。「空を飛ぶ」ってもうさんざん観てきたじゃないですか。色んな作品で観てきたし、飛行機に乗ることも高いハードルじゃない。なのに未だに高揚する。子どもの頃みた『ドラゴンボール』の武空術だったり、『魔女の宅急便』のデッキブラシだったり。あの感覚が蘇る感じこの映画にもあった。「空を飛ぶ」はいつか自転車感覚で人が空を飛べるようになるまで、ずっと強いカードなのかもしれない。

そして「ドラえもん最終回」的ラストへ

この物語の「別れ」の演出はそりゃあ巧いんだけど、この映画に限らず「別れ」のシーンでドラえもんの最終回思い出してなんか勝手に感動に拍車がかかることってないですか?自分の場合たまにあるのだけど、この映画でも最後ドラえもんの最終回思い出してベイマックスがドラえもんに見えた。いや、主人公の「もう大丈夫だよ」にのび太を重ねたのかもしれない。

「ドラえもんすげえな」って、改めてそう思ったのでした。

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