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平民金子と飲んだ夜

 2週間ほど前の話になるのだけど、書かずに年は越せまいという気がしたので書いておく。

 写真ブログ『平民新聞』の平民金子さんと飲んだ。Twitterでやりとりをし、気づけば飲むことになっていた。場所は新宿。待ち合わせは西口ビックカメラ、カメラ売り場の一眼レフコーナー。

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 分かる人には分かると思うけど、平民金子と一眼レフコーナーで待ち合わせというのは、上がる。だって『平民新聞』の平民金子だぜ?そりゃ高揚するだろ。

 僕は『平民新聞』の購読を初めて、おそらく6年くらい。熱心な読者だという自負があるけど、写真は全然分からない。iPhoneで撮るくらいだ。慣れないカメラ売り場でおどおどしていると、見知ったあの顔がやってきた。僕はタイミングを見計らって声をかけた。

 「あの、平民さんですか? 必需品です」

 「…ども。じゃ、いこっか」

 言葉少なにカメラコーナーを後にする平民さん。ダンディだ、それでいてどことなく駄目な大人の匂いをまとってらっしゃる。

 僕らは酒を口にできる場所を求めて、新宿の街へと歩みだす。いくつか言葉を交わして店の目星を付けると、平民さんがおっしゃった。

 「腹へってる?もし減ってるなら、コンビニでおにぎりでも買って、腹に入れてくるといいよ。僕らみたいな貧乏人は、腹ふくらませてから飲まないと」

 なんていうのだろう、僕は、軽くときめいた。欲しかった言葉だ。言われてみたかった言葉である。世界よ、これが平民金子だ。

 コンビニで炒飯おにぎりをかっこむと、僕らは生ビールが一杯180円で飲める店へと入った。何杯飲んだだろう、結果、4時間半2人で飲むことになった。

 
 こういう飲みにありがちだけど、喋った内容はあまり覚えていない。だけど断片的に記憶している節はあって、まあ僕の方から出したフレーズもあるけど、ちょっと思い出しながら列挙してみる。

  • フジヤカメラ中野は中古カメラの聖地
  • 「キミみたいなモテないヤツから共感されても困るよ」
  • ちきりん
  • フミコフミオ
  • 「なんていうのかな、昔ははてなって、もっと小さかったから」
  • 覚悟が足りないよ
  • ココロ社
  • 「梅佳代のカメラは中古なら5千円で買えるよ」
  • 「梅佳代さんも川島小鳥さんも確かフィルムだよ」
  • 「カメラ好きはねえ、だいたいこの人は何使ってるかっての、分かるもんなんだよ」
  • 四畳半
  • いくしゅん


 ポケットから出して、あのGRデジタルを見せてくれたりもした。レンズカバーが富士フィルムだったのを覚えている。「そろそろ出よっか」。平民さんがおっしゃって、僕らは安飲み屋を後にした。


 店から出て、駅までの帰り道、気づいたら平民さんは居なくなっていた。「こういう別れ方をする人なのか、新しい」などとぼんやり考えていると、しばらくして手作り感のある小さな冊子を手にした平民さんが歩いてきた。なんですそれ、と聞くと、立ち売りしている方から購入された詩集だった。

 「まあボランティアみたいなものだから。よかったらあげるよ、また買うし」

 そう言って、平民さんはその詩集を僕に下さった。僕らは握手して、別れた。


 どことなく駄目な大人の匂いをまとった方だった。そして、最後までダンディな人だった。


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