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不幸が似合う漫画家、押切蓮介の『猫背を伸ばして』

いい名前だよね、押切蓮介って。バランスとか?分からんけど。

押切蓮介といえばちょっと前に著作権侵害問題がありましたね。一部許可を得ずにゲームのキャラクタを自作に登場させてた件で。単行本自主回収したり、アニメ化の予定も不透明になったり。おそらく担当編集者の怠慢なんだろうけど、やりきれないよね。代表作がついにアニメ化勝ち取ろうとしてた矢先の、本人におそらく非が無い理由でのそれだもん。
けどなんだろ、『猫背を伸ばして』を読んだ後だと、「あぁ、そういう星の下なのかも」って感じる。もちろん作者の自己演出なんだけど、似合う、不幸が。

この漫画は、押切蓮介本人の日常やフリーター時代を描いたエッセイ漫画なのだけど、暗い。いや、ホラーギャグなるジャンルの第一人者らしいので(©Wikipedia)、笑いもちりばめられてるんだけど、それを陰気さが上回るというか。


以前に同作者の『ピコピコ少年』は読んだのだけど、他の作品は読んだことが無い。ただ、少なくとも『ピコピコ少年』は郷愁をくすぐるような、決して暗い話では無かった。なのでまあ色々描ける作家なのだろう。

作中では主に母親との2人暮らしだったり、ダウナーでホラーな職場での出来事だったり、いい気分にはならない学生時代だったりが描かれている。作中での”現在”を描く際は筆ペンを多用した荒い絵柄で、回想を描く際は本来の絵柄と使い分けられているのだけど、その為、ただでさえ賛否分かれるであろう絵柄がさらに個性的になり、なかなか読者を選ぶ仕上がりになっている。俺は読みにくかった。

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(終盤に来て急にタバコ吸い出す母親)

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(この犬の表情すき)


なのでこれ読むんだったら『ハイスコアガール』とか『ピコピコ少年』読んだ方が有意義な時間を過ごせそうなのだけど、それでも作中で一切描かれなかった父親の失踪があとがきでさらっと語られたりと、予想とは違う視点に引っ張られる感じは悪くなかった。

『でろでろ』のファンだって人も、例の事件で興味持ったって人も、作者の人となりに興味があったら読んでみるのはありかもしれない。

猫背を伸ばして 新装版 (フレックスコミックス)

猫背を伸ばして 新装版 (フレックスコミックス)

追:作者のTwitter覗いたら8/2で更新途絶えてた。ヘタなこと言わない為かその手の質問がめんどくなったんか分からんけど、やっぱ可哀想は可哀想ね。『ハイスコアガール』読んでみます。